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「お父さん?」
「うん、そう。ほら、本間さんに会うと、ちょうど父と同じくらいの年齢だから、私の父はどんな人だったのかなーとか、今元気にしているのかなーって...急に気になり始めちゃってね...なんでかしら?」
「...お父さんの居場所って分からないのか?」
「うん。実は名前も知らないの。母が何も話したがらなくて...。あ、ただね、今度祖母に会いに行ってこようと思っているから、その時に色々聞いてみようかなって...祖父母ももう高齢でしょう? 今のうちに聞いておいた方がいいかなと思ってて...」
華子はそう言って、弱々しい笑みを浮かべた。
「そうだな、その方がいいかもしれないな...」
陸はそう返すと、少し何かを考えている様子だった。
そして、しばらく間を置いてから言った。
「俺がお父さんの居場所を調べてやるよ」
「えっ?」
華子は思わず陸を見上げる。
「調べる為には、ある程度の情報が必要だな...。例えば、名前や生年月日、出身や職業...離婚後どこへ行ったのか、あとは実家とか? とにかく手掛かりになる事なら、どんなに小さな情報でもある方がいいな。そうすれば、今いる場所を突き止められるかもしれない...」
「それって、プロの人に調べてもらうって事?」
「ああ。俺を今の仕事に誘ってくれた高津さんだったら、ひいきにしている興信所があるだろうから紹介してもらうよ。あ、そうだ、そのうち、高津さんに華子を紹介しないとな...」
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