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「高津さんって言うのね。陸の恩人みたいな人よね?」
「ああ、俺も父親が病死していないだろう? だから、俺にとって高津さんは父親代わりみたいな人なんだ」
陸はそう言って微笑んだ。
「ふーん、それなら私も会ってみたいな」
「近いうちに紹介するよ」
「うん」
華子は頷くと、陸の肩に顎をくっつけた。
「君が実家に帰る時、俺も一緒に行くよ。結婚の了承を得ないとだしな...」
華子は驚いた顔をした。
それを見た陸は、
「何か問題でもあるか?」
と聞く。
すると、華子は首をブンブンと振り、
「陸が来てくれるなら心強いわ」
と言って微笑んだ。
そして、嬉しそうに陸に擦り寄る。
華子の子猫のようなその仕草が、可愛くてたまらない。
陸は華子の肩を更に引き寄せると、
今にも眠りに落ちそうなその愛らしい顔を、
いつまで優しい瞳で見つめていた。
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