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「えっ？ でも振られたのは私なんですよ？ それに、私の方はしばらく未練たらたらだったし...」
「そうなんだ...でもね、自分にぞっこんだった女性が、自分の事をあっさり忘れて、他の男と幸せになっているっていうのが、とにかく気に入らないんじゃないのかしら？ ほんと、オトコってバカよね！」
野村は小声でそう言うと、クスクスと笑った。
「そうなのかしら......」
華子はそう呟きながら、チラッと重森の方を見る。
すると、重森はじっと華子の方へ熱い視線を送っていた。
大学生の華子だったら、きっと飛び上がって喜んでいたかもしれない。
しかし今の華子は、そんな視線を送られても
気持ち悪いとしか思えなかった。
その時、野村が華子の左手を取って言った。
「ねぇねぇ、その指輪、陸さんからでしょう？ すっごく素敵よねぇ。よーく見せてよ！」
そう言って、華子の指輪をじっと見つめる。
「これは婚約指輪なの？」
「あ、いえ...違います。これは普段身に着けられるようにって...」
「へぇ～、仕事中も身に着けて欲しいって思ってるのねぇ...あの陸さんがそう思うなんて...三船さん、よっぽど大切に想われているのねぇ...」
野村はうっとりとした表情で言う。
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