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マンションへ戻ると、 二人は温かいうちにピザを食べる事にした。 ピザの箱をテーブルに並べ、ビールとグラスも持って行く。 二人は、向かい合って席に着くと、乾杯してから、 ピザを食べ始めた。 「おいしーい! ここのピザ初めて食べたわ。そんなに店舗数はないのよね」 「ああ、この辺りがメインの店だからな...普通のピザとは違うだろう?」 「うん、すごく美味しい!」 華子は満面の笑みで美味しそうに食べている。 そこで華子は、急に思い出したように言った。 「あのね、今日もまたアイツが来たのよ!」 「アイツって...重森か?」 「そう。今日は一人で来たの」 「で、大丈夫だったのか?」 「うん。仕事が何時に終わるかって聞かれたから、なんでって聞き返したら、私と話がしたいって言うのよ! で、私は話す事は特にないわって言ったら、いつの間にか帰ったみたい」 それを聞いた陸はフッと笑って言った。 「やっぱりな...元カノが幸せそうにしていると気になるんだな」 「野村さんも言ってたわ。私が幸せそうなのが気に入らないんじゃないかって」 「ハハハ、そうだろうな。動じなかった華子は偉いぞ!」 「うん、陸のお陰。この素敵な指輪のお陰よ...」 華子はそう言って、左手の指輪を愛おしそうに撫でる。 それを見た陸は、満足そうな表情をしてから、 手を伸ばしてヨシヨシと華子の頭を撫でると、 「よく頑張ったな!」 そう言って華子を褒めてくれた。 華子はそんな陸の優しさが嬉しかった。 『私はもう大丈夫! 以前の私とは違うのよ!』 そう心の中で呟くと、 美味しそうにピザを食べ続けた。
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