3676人が本棚に入れています
本棚に追加
/348ページ
美容院は11時に予約していた。
初めて行く美容院なので、
今日はカットだけの予定だ。
まずはカットの腕前を見て、今後も通うかどうかを判断するつもりだ。
華子が見つけた美容院は、ここから歩いて十分程の、
大通りから一本中へ入った閑静な住宅街にあるようだ。
予約の時間が近づいてきたので、華子はバッグを手にしてマンションを出た。
うららかな春の日差しが肌に心地よい。
今日も天気は快晴だ。
銀座のクラブに勤めていた時は、夜型の生活だったので、
太陽の日差しを浴びながら午前中に外を歩く事はめったになかった。
あの頃のこの時間はまだベッドの中だ。
やっぱり人間は、朝早く起きるサイクルが一番合っているような気がする。
華子は、ここへ来て朝型の生活を始めるようになり、
心がかなり健康的になっている事に気づいた。
昔のように鬱々したり、自暴自棄になる事はほとんどなくなっていた。
『初めて会った日に、陸が言っていた事は本当だったのね!』
華子は思わずフフッと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!