21

14/17

3675人が本棚に入れています
本棚に追加
/348ページ
「彼女はうちのお弁当をよく買いに来てくれるお客様なの」 「ああ、そうだったのね...」 店主はなるほどと言った様子で頷く。 「あっ、この人はね、高校時代の同級生なのよ」 弁当屋の女性は、そう言って隣の美容師を紹介した。 「彼女は持田沙織(もちださおり)さん! で、私が樋口美羽(ひぐちみわ)です」 「三船華子です」 「華子さんね! もしかして年齢も近いわよね。おいくつ?」 「27です」 「私達の方が上だわぁ~。私達は30よ!」 「あ、先輩だった!」 華子がおどけた調子で言うと、二人は声を上げて笑う。 そこからは一気に打ち解けた。 美羽の話によると、この美容院の二階は、店主の沙織の自宅になっているそうだ。 元々この家は沙織の祖母の家で、 そこを改装して美容院として使っているらしい。 二階には三部屋あり、そのうちの一部屋を 美羽が借り、沙織と一緒に住んでいるらしい。 シェアハウスのような感じだろうか? 同級生同士なので、気兼ねなく暮らしていると言った。 「なんだか楽しそうですね...」 「腐れ縁だからねぇ...でも時々喧嘩もするわよ」 と沙織が言った。 「そうなんですか?」 「そうそう。お互い頑固だから引かないよねー!」 美羽はそう言って笑う。 「お互い仕事の種類は違うけれど、目指すものは一緒だから...あ、目指すっていうのは、自分の店を持つって事ね! だから、そういう意味では、お互いいい刺激になっているのよ」 沙織がそう言うと、美羽が突っ込みを入れる。 「沙織はもう自分のお店を持ってるじゃーん!」 美羽は羨ましそうに言う。 「ここはおばあちゃんの家だもの...ただラッキーだっただけよ!」 そこで華子が聞いた。
/348ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3675人が本棚に入れています
本棚に追加