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陸は先にコーヒーを一口飲んだ。 それを見て華子も同じようにコーヒーを一口飲む。 喉が渇いていたのだろう。 それから華子はゴクゴクとコーヒーを飲み始めた。 「で、なんで死のうと思ったの?」 そのシンプルな質問に、華子は答えない。 「死にたかった原因は?」 「.......」 まだ頭の中の整理が出来ていない華子は、答えに詰まる。 本来は気の強い華子だ。 いつもだったら質問されれば、10倍にして言い返す自信がある。 しかし、今は全く言葉が出て来ない。 それほど、頭の中がパニックになっていた。 「知り合いに、大学病院で精神科医をやっている奴がいるんだが、 一度行ってみるか?」 それはハッタリではなく本当の事だった。 陸は、慶尚大学で精神科医をしている高見沢圭(たかみざわけい)という友人がいた。 陸と高見沢が知り合ったのは、この店を訪れた元自衛隊員が、 鬱で苦しんでいたので、一緒に病院へ付き添ってやった事がきっかけだった。
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