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実は、華子には女友達がいない。
中学生くらいまでは、それなりにクラスで仲の良い女友達はいたが、
高校あたりから、段々女友達が減っていった。
それはおそらく、華子が女王様気質へと変貌していったからだろう。
華子は高校生になると、自分を演出する術を覚えた。
ハイスペックな男を捕まえる為には、
常にプライドを保ち、自分を安売りしない。
自分はなかなか手に入らない最上級の女なのだと相手に思わせ、
自分の価値を高めなさいと、母の弘子に常々教えられていた。
その通りに振る舞っていたら、
気付いた時には女友達は誰もいなくなっていた。
その代わりに、華子の周りには、
常に校内の男子達が群がるようになる。
それを見た女生徒達は、面白くなくて更に華子から距離を置く。
そんな状況では、心許せる女友達など出来るはずがなかった。
だから、同年代の女性から、
こんな風に自宅ランチに招かれたのは初めてだった。
正直、どう返していいのか分からない。
その時、本間に言われた言葉が頭の中に思い浮かんだ。
『チャンスを逃すんじゃないぞ!』
華子はその言葉にハッとする。
そして、つい勢いで沙織に答えていた。
「じゃあ、お言葉に甘えてお邪魔しちゃおうかしら?」
ちょっと気取った言い方になってしまい、自分でもしまったと思う。
そしてドキドキしながら沙織の反応を見る。
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