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高見沢は元々サバゲ―やモデルガン等の趣味を持っていたので、
この店のバータイムの客が同じ趣味の人の集まりだと知ると、
頻繁に訪れるようになった。
慶尚大学病院は、この店からすぐ近くなので、
高見沢は昼のカフェタイムにランチを食べに来る事もある。
自分が病院に連れて行かれるかもしれないと思った華子は、
びっくりして慌てて言った。
「だ、大丈夫ですから......」
「自殺しようとして大丈夫な訳ないだろう?」
「ほっ、本当に大丈夫だから」
華子は必死に訴える。
「じゃあ、死にたくなった理由は?」
答えないと病院に連れていかれると思った華子は、
諦めて答える事にした。
華子が慶尚大学病院に行きたくない理由は、
精神科云々という事ではなくて、
慶尚大学病院には重森がいるからだ。
酷い振られ方をしたのに、バッタリ会ったら困る。
それに自殺をしようとして精神科に行ったなんて知られたらもっと最悪だ。
今のみじめな姿を、重森に見られるのだけは絶対に嫌だった。
こんなに落ちぶれてもプライドだけは健在だったので、つい可笑しくなった華子心の中でフフッと笑う。
しかし急に鋭い視線に気付く。
目の前で気難しい顔をして華子の答えを待っている男がいるのだ。
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