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陸との電話を終えた華子は、思わず鼻歌を口ずさむ。
陸は華子の他愛のない話に、長い時間付き合ってくれた。
それだけで、なんだか受け入れられているような気がして
気分がいい。
帰りにスーパーへ寄る前に、少し商店街を歩いてみる事にした。
華子はここに住み始めてから、
この辺りの商店街をじっくりと歩いた事がなかった。
高級住宅街が多い街は、センスの良い雑貨店や、
美味しいパン屋、スイーツの店などが、あちこちに点在している。
歩いていると、気になった店があったので、早速入ってみる。
その店は、雑貨店だった。
上品でエレガントなキッチン雑貨やインテエリア雑貨が、
店内に溢れている。
食器類や、ナチュラル素材のシンプルな室内着なども取り扱っているようだ。
店内には、主婦と思われる女性達が数名いた。
皆一人でこの店を訪れているようだ。
華子も彼女達に混ざり、雑貨類を一つ一つ見ていく事にした。
商品が並ぶ棚を眺めながら歩いていると、
食器コーナーで、華子はある物に目を留めた。
それはマグカップだった。
カップは、オフホワイトの下地の上に、鮮やかな黄色で
レモンが描かれていた。
見ているだけで、元気が出そうな絵柄だ。
そのカップに、華子は一目惚れした。
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