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雑貨店で満足のいく買い物を終えた華子は、 その後スーパーへ寄ってから家へ戻った。 買い物をした食料品を冷蔵庫へしまうと、 マグカップやエプロンを手にする。 カップとエプロンはタグを外し、 プレゼント用に包装してもらったマグカップは、 とりあえず寝室のクローゼットの中へ隠す事にした。 二人でこのカップを使う日が待ち遠しい。 キッチンへ戻った華子は、 レモン柄の鍋掴みを、キッチンの壁のフックへぶら下げた。 すると、無機質だったキッチンが華やかになる。 爽やかなイエローのレモン柄が、キッチンの白い壁に よく映えていた。 『可愛いじゃない!』 華子は満足気な様子で頷くと、 コーヒーを入れ始める。 夕食の支度まではまだ時間があるので、 コーヒーでも飲みながら、少しのんびりしようと思った。 華子はコーヒーを飲みながら、スマホでイタリアの地図を出す。 そして、先ほど美羽が言っていた街を探す。 華子は美羽がどんな街で過ごしていたのかを見てみる事にした。 『へぇ...高校を出てすぐに、たった一人でこの街に行ったのね! すごい行動力だわ!』 華子は感心したように頷くと、急にハッとしてからまた検索をかける。 華子が調べようとしていたのは、次のような言葉だった。 【保育士 資格 通信教育】 検索結果を見ると、様々な学校の通信教育が表示されていた。 それを一つ一つ見ていく。 費用は思っていたほど高くはない。 順調に勉強が進めば、八ヶ月ほどで資格が取れるようだ。 『思ったよりもハードルが低いわ...いくつか資料請求をしてみようっと』 華子は早速資料を取り寄せる事にした。 ついこの間まで、無気力に生きていた華子とはえらい違いだ。 いつの間にか、華子はやる気に満ちていた。 それは、美羽と沙織から沢山の刺激をもらった事も影響しているのかもしれない。 『生きるって、結構楽しいじゃない!』 華子はフフッと笑ってもう一口コーヒーを飲むと、 窓の外へ目を向けた。 そして少しずつ沈みゆく太陽を、じっと見つめ続けた。
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