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しかしそんな事情は全く知らずに重森は言う。
「残念だなぁ。君がどんな男を選んだのか見てみたかったのにな...」
そしてまだ話を引き延ばそうとしたので、
見るに見かねた野村が、横から助け船を出してくれた。
「三船さん、お客様にコーヒーをお渡ししたら、休憩に行ってね!」
野村はそう言ってコーヒーを渡しながら、
華子にだけ見えるように、ウィンクをした。
そんな野村に「すみません」という顔をしてから、
華子はコーヒーの載ったトレーを重森に渡す。
重森はトレーを受け取ると、面白くなさそうな顔をしながら
しぶしぶとテーブルの方へ歩いて行った。
重森の後ろ姿を見ながらホッと胸を撫でおろした華子は、
野村に向かって、
「助かりました、ありがとうございます!」
とお礼を言うと、野村に言われたように、
奥の休憩室へ向かった。
華子が閉店準備を始めた頃、店内を見回すと
重森の姿は消えていた。
重森が帰った事を確認した華子は、ホッとした。
そこへ睦子が近づいて来て言った。
「あのオトコ、華子ちゃんの元カレなんだって? さっき野村ちゃんから聞いちゃったわ! なんかしつこそうな人ね!」
華子は驚いて睦子を見る。
「ほら、恋バナもOKって言ったでしょ?」
睦子はそう言ってまたウィンクをした。
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