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男性の年齢は50歳前後、
背は低いががっちりとした身体の、目つきの鋭い男性だった。
「ああ、大野さん、ちょうど良かった...」
陸はそう言うと、大野に話し始めた。
「俺の婚約者を、彼が無理やり車へ連れ込もうとしたんですよ。これって軽く犯罪ですよね?」
それを聞いた大野は、「おや? そう言う事か!」という顔をした。
大野が答える前に、陸は華子に言った。
「大野さんはうちのお客さんで、現役の警察官なんだよ」
華子は、「ああなるほど」といった顔をした。
確か、あの店のバータイムには、警察官や自衛官が多く集まるという話を、
以前陸から聞いていたからだ。
その瞬間、急に重森の顔色が変わった。
「そりゃあなぁ...嫌がる人間を無理やり車へ連れ込もうとしたら、略取罪になっちまうなぁ! 今ここでそれが起きていたんだろう? どうする? 俺の同僚を呼ぶか?」
大野はこの地域を管轄する警察署に勤めているので、
電話一本で仲間の警察官を呼び出せるようだ。
大野はポケットからスマホを取り出すと、
今にも電話をかけそうな仕草をする。
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