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「大野さん、助かりました、ありがとうございます」 「ありがとうございます」 華子も陸に続いて、大野に礼を言う。 大野は華子の顔をまじまじと見ると、 「どこかで会った事があると思ったら...あの時の彼女かい!」 大野は華子の事を覚えていたようだ。 仕事柄、人の顔を記憶する術にたけている大野は、 華子があの日愛人と揉めた後、陸と行動を共にしていた事を 覚えていたのだ。 華子は恥ずかしそうな顔をしてから、 「その節はお騒がせいたしました」 と言った。 「いやいや、気にする事ないですよ! それにしても、二人は婚約したのかぁ...そりゃあ目出たいな! 今度みんなでお祝いしなくちゃな!」 「お祝いなんていいですよ...」 陸が申し訳なさそうに言うと、 「ダメダメ! だってあれだろう? 全く結婚願望がなかった陸ちゃんが結婚するんだ! こりゃあ一大事だぞ! 今日早速みんなに連絡しておかなくちゃな!」 大野はそう言ってガハガハと笑った。
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