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すると、陸が言った。
「他に仕事はしているのか?」
「してないわよ! だから困ってるんじゃない!」
「明日返す50万はどうするんだ?」
「やだ、全部聞いてたのね。多少貯金はあるから50万は返せるわ。でも貯金を使ってしまうと、住む家が借りられなくなるから、困っているのよ......」
華子は諦めたようにフーッとため息をつく。
そしてもう一口コーヒーを飲んだ。
「だったらここで働けばいい」
「えっ?」
「真面目に働くなら、社宅を提供してやってもいい。ここから歩いてすぐだが、まあまあ小綺麗な物件だ」
「アパートを貸してくれるの? タダで?」
「アパートじゃない。一応オートロックのマンションだ」
「それをタダで......?」
華子は驚いていた。
この辺りは、人気の街なので地価が高い。
オートロック式の小綺麗なマンションを借りようとすれば、
かなりの家賃がかかるはずだ。
それを、この男は無償で提供してくれると言った。
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