3

6/12

3681人が本棚に入れています
本棚に追加
/348ページ
すると、陸が言った。 「他に仕事はしているのか?」 「してないわよ! だから困ってるんじゃない!」 「明日返す50万はどうするんだ?」 「やだ、全部聞いてたのね。多少貯金はあるから50万は返せるわ。でも貯金を使ってしまうと、住む家が借りられなくなるから、困っているのよ......」 華子は諦めたようにフーッとため息をつく。 そしてもう一口コーヒーを飲んだ。 「だったらここで働けばいい」 「えっ?」 「真面目に働くなら、社宅を提供してやってもいい。ここから歩いてすぐだが、まあまあ小綺麗な物件だ」 「アパートを貸してくれるの? タダで?」 「アパートじゃない。一応オートロックのマンションだ」 「それをタダで......?」 華子は驚いていた。 この辺りは、人気の街なので地価が高い。 オートロック式の小綺麗なマンションを借りようとすれば、 かなりの家賃がかかるはずだ。 それを、この男は無償で提供してくれると言った。
/348ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3681人が本棚に入れています
本棚に追加