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そして日曜日が来た。
この日は、二人で華子の実家を訪問する事になっている。
陸はいつものカジュアルスタイルではなく、
少しきちんとした格好をしていた。
ライトグレーのパンツに白シャツ、それに黒のジャケットを着ている。
陸のジャケット姿を見たのは初めてだった。
『きちんとした格好も素敵!』
思わず華子は頬を染める。
最近の華子は、陸の事が好きで好きでたまらない。
陸が華子を重森から救ってくれた日以降、
更に好きの度合いが日に日に増している。
一緒にいてもいなくても、華子はいつも陸の事を考えるようになっていた。
『フフッ、まるで初恋みたいね...』
そう思いながら、出かける準備をしに寝室へ向かった。
華子はこの日、シンプルなグレーのワンピースを着る事にした。
以前は派手なデザインや色合いの服を買ってばかりいた華子だが、
なぜかこの服を買った時は、このシンプルなデザインに魅かれた。
もしかしたら本当の華子は、こういったシンプルなデザインの方が好きなのでは? そんな風に思えてきた。
陸と出逢ってから、ずっとありのままの自分でいた事に気づいた。
今までのように、自分を飾ったり、必要以上に良く見せようとしたりする
必要はない。
そのままの華子を、常に陸は愛してくれた。
だから、これから服を選ぶ時は、
本当に自分が着たい服を選ぼう。
人からどう見られるか...ではなく、自分が何を着たいか...
まずはそういう風に徐々に意識を変えていこうと思っていた。
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