24

3/20
前へ
/348ページ
次へ
玄関の重厚な引き戸を開けると、中で華子の祖母が待っていた。 「まぁまぁ、ようこそいらっしゃいました。お待ちしていましたよ」 華子の祖母は、歳は70代半ばくらい。 白髪交じりの髪をきちんとアップに結い、着物を着ていた。 「初めまして、日比野陸と申します。今日は突然お邪魔してすみません。これ、つまらないものですが...」 陸はそう言うと、祖母に紙袋を渡す。 「まぁまぁ、お気遣いいただきありがとうございます。さ、中へ上がって下さいな」 祖母は満面の笑みで陸を迎え入れた。 華子からは、祖母はかなり厳しい人だと聞いていたが、 実際に会ってみると、とても優しそうな女性だった。 久しぶりに華子に会い、ホッとしたような表情をしていたのを、 陸は見逃さなかった。 華子を見つめる瞳には、常に愛情が溢れている。 華子はここへはしばらく帰っていないと言っていたので、 相当心配していたのだろう。 陸はそう思った。
/348ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3685人が本棚に入れています
本棚に追加