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玄関の重厚な引き戸を開けると、中で華子の祖母が待っていた。
「まぁまぁ、ようこそいらっしゃいました。お待ちしていましたよ」
華子の祖母は、歳は70代半ばくらい。
白髪交じりの髪をきちんとアップに結い、着物を着ていた。
「初めまして、日比野陸と申します。今日は突然お邪魔してすみません。これ、つまらないものですが...」
陸はそう言うと、祖母に紙袋を渡す。
「まぁまぁ、お気遣いいただきありがとうございます。さ、中へ上がって下さいな」
祖母は満面の笑みで陸を迎え入れた。
華子からは、祖母はかなり厳しい人だと聞いていたが、
実際に会ってみると、とても優しそうな女性だった。
久しぶりに華子に会い、ホッとしたような表情をしていたのを、
陸は見逃さなかった。
華子を見つめる瞳には、常に愛情が溢れている。
華子はここへはしばらく帰っていないと言っていたので、
相当心配していたのだろう。
陸はそう思った。
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