24

13/20
前へ
/348ページ
次へ
「慶太さんはね、東京で小さな会社を経営していたの。主にリゾート開発なんかをやっている会社ね。でも、あなたが生まれた頃は、回復しかけていた日本の景気が徐々にまた悪化しだしてね...リゾート関連の会社は大打撃を受けたのよ。それで会社をたたむ事になったの。その後、慶太さんは北海道の知り合いから誘われて、向こうで仕事を見つけたらしくて、弘子とあなたを連れて行こうとしたんだけれどね...弘子が拒否したのよ。まぁ、東京生まれで東京育ちの弘子からしたら、北海道に行く事は、かなりハードルが高かったんだと思うわ...」 そこまで聞いた華子は、思わず聞いた。 「じゃあ単身赴任みたいにすればよかったじゃない。なんで離婚なんか...」 そこで菊子はもう一度深呼吸をした。 そして、陸の方をチラッと見てから話し始める。 「陸さんはもう家族になるんだから隠す必要はないわね...離婚の理由は、弘子が浮気をしたからなの。まだ赤ちゃんだったあなたがスヤスヤと寝ている間に、弘子は男を家に連れ込んで浮気をしていたのよ...」 「えっ?」 「陸さん、ごめんなさいね...家族の恥をさらしてしまって...」 「いえ、お気になさらずに...」 「お母さんが? 私が家にいるのに?」 「そう...なんでも保険の営業で度々訪れていたセールスマンだったらしいわ...その人が来る度によ...ある日慶太さんが忘れ物を取りに帰った時に、その男性と鉢合わせしてして浮気が発覚したらしいの...」 「............」 華子は言葉が出なかった。 母は、まだ小さかった私が家にいるのに、家族が暮らす家に男を引き入れていのだ! ショックのあまり、何も言えなかった。
/348ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3686人が本棚に入れています
本棚に追加