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「ここからどのくらいで着くの?」 「高速に乗れば一時間ちょっと位かな? ただ今日は時間があるから、下道で行ってみよう。その方が、北海道らしい景色が堪能出来るからな!」 「陸は昔海道に住んでいたから詳しいのね」 「ああ...と言っても俺の実家があったのは札幌だけどな...」 「ふぅん...陸が学生時代を過ごした北海道かぁ...陸の学生時代、見てみたかったなぁ...」 「ハハハ、もう遠い昔だよ」 「モテたでしょう?」 「いや、そうでもないよ」 「嘘っ! 絶対モテたはず!」 華子はそう言って少し拗ねたような顔をする。 それを見た陸が、優しく言った。 「大切なのは、過去じゃなくて今だろう? 今は華子だけだ...」 その言葉を聞いて、華子は少しご機嫌になる。 それから窓の外に流れる景色を眺めた。 そこには、北海道の雄大な自然が広がっていた。 とにかく空が広い。 都会のビルの隙間から見える東京の空とは違い、 ここには遮るものが何もない。 青く澄み渡った空に、雲がゆったりと流れていく。 それを見ているだけで、心癒される気がした。 日本だとは思えないほど大きな規模の農場。 可愛らしい小屋とサイロのある牧場。 そして今はオフシーズンだが、あちこちにスキー場が 点在している。 そんな非日常の景色を見ていると、 華子は今、自分が北海道にいる事をひしひしと感じていた。
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