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華子があまりにも自分の事をジロジロと見るので、
陸は鋭い目で華子を見返した。
その時、二人の視線が絡む。
一瞬、華子が目を逸らす。
すると陸がフッと笑みを浮かべてから言った。
「うちで働くか働かないか、今すぐ決めろ!」
陸の強引な物言いに、少しイライラした様子で華子が言った。
「雇用形態はアルバイト?」
「最初はアルバイトだが、真面目に働けば社員にしてもいい」
「カフェの社員か......」
華子は少し不満気に呟く。
しかし頭の中では、
『仕事をえり好みする余裕なんて、今のアンタにはないのよ』
という声が聞こえて来る。
20秒ほど押し黙った後、華子は陸に聞いた。
「時給はいくら?」
「通常は1300円からスタートだが、困っているようだから1500円にしてやる!」
『カフェで1500円? 結構いいんじゃないの?』
華子は心の中で呟くと、うんと頷いてから言った。
「わかったわ! 交渉成立ね!」
「おいおい、君は雇われる側だぞ。もっとマシな言い方があるだろう?」
陸が苦笑いを浮かべて言ったので、華子は少しムッとしつつも、
「分かったわよ! 雇ってくれてありがとうございますぅ!」
華子は少し口を尖らせながら言った。
その顔が可愛らしかったので、陸は思わず微笑んだ。
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