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「お父さん......」
思わず華子の視界が滲み始める。
『今は泣いてはダメよ、華子!』
華子は自分にそうい言い聞かせると、高瀬に聞いた。
「父に...父に会えるでしょうか?」
華子の言葉を聞いた高瀬は、少し考え込むような表情をした後、
二人の方を見て言った。
「彼は今入院中です。二週間前に倒れて救急車で運ばれ、すぐに心臓の手術を受けました。今はまだ、大学病院に入院しています」
加瀬の言葉を聞いた二人は、思わず顔を見合わせた。
そこで華子が泣きそうな顔になる。
「ご容態は?」
陸が落ち着いた声で聞いた。
「ご安心下さい。手術は無事成功しました」
高瀬の言葉を聞いて、二人はホッとした表情になる。
「今からお見舞いに行ったら、ご迷惑でしょうか?」
「大丈夫ですよ...今は退院に向けてリハビリ中なので。彼もびっくりするでしょうが、きっと喜ぶと思います」
高瀬の言葉を聞いた二人は、ホッとした表情になる。
「私がご案内します。あ、出かける前に、チェックインの手続きだけして参りますね。もう少々こちらでお待ち下さい」
「ありがとうございます」
陸はそう言うと、先ほど書いた紙を高瀬に渡した。
高瀬はそれを受け取ると、カウンターの中へ戻って行った。
「お父さん...大丈夫なのかしら...?」
華子がか細い声で言う。
「今はリハビリ中って言ってたから大丈夫だよ。死にそうな人間にリハビリなんてしないだろう?」
「うん...それもそうね......」
華子は少し安心した表情になる。
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