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その後、二人は高瀬の運転する車で、
父・慶太が入院している大学病院へと向かった。
大学病院は岩見沢市内にあり、十分ほどで着くとの事だった。
車の後部座席に座った華子は、少し緊張していたのだろうか?
陸の手をしっかりと握っていた。
陸は華子の不安を和らげるために、その手を握り返す。
車はすぐに病院へ着き、高瀬は車を駐車場に停めた。
ちょうど面会時間が開始した時間だったので、
病棟にはお見舞いに来た人達の姿がちらほら見えた。
三人はナースステーションで面会の受付を済ませると、
早速慶太の病室へと向かった。
四人部屋が並ぶ廊下を進むと、父の名前が貼ってある病室があった。
『四人部屋なら、それほど悪い状態ではないのね...』
華子はホッと息をついた。
高瀬は二人に、
「こちらですよ」
と言って微笑むと、ノックをして中へ入って行った。
慶太のベッドは、右奥の窓際のようだ。
高瀬がベッドへ近づくと声がした。
「また来てくれたのか。そんなに頻繁に来なくても大丈夫だぞ」
父の声だろうか?
華子はその声を聞いて、どこか懐かしいような気がした。
ベッドの横のカーテンが締まっていたので、
父はまだ、高瀬の横に二人がいる事に気づいてない。
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