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次の日、二人は空港へ行く前に、もう一度慶太を見舞った。 「今度会うのは、結婚式でかな?」 「ううん、その前に、何度でも会いに来るわ! その時は、私の手料理も振る舞うから!」 「おお、そりゃあ楽しみだなぁ! だったら、陸君とも一杯やらなくちゃな!」 「お酒はまだ駄目よ!」 華子は看護師のように厳しく言う。 そんな華子の様子を見た二人は、同時に声を出して笑った。 チェックアウトをしてホテルを出る際、二人は高瀬に礼を言った。 華子は、 「父の事、よろしくお願いします」 と言って深々と頭を下げる。 すると高瀬も、 「心配はいりませんよ! 任せて下さい!」 と、華子を安心させるように言った。 ホテルを出た二人は、 空港に行く前に、少し札幌観光をしていく事にした。 「とはいっても、そんなに観光する時間はないわよね?」 「ああ、でもちょっと行きたい所があるんだ...」 珍しく陸がそう言ったので、 きっと生まれ育った札幌で、行きたい場所があるのだろうと思い、 華子は快く了承する。 岩見沢からは、一時間足らずで札幌へ到着した。 陸は駐車場へ車を停めると、 デパート前の通り沿いを歩き始めた。 「買い物?」 「ああ...華子婚約指輪を買わないとな! 札幌だったら有名ブランドも揃っているだろう...」 「えっ?」 「華子はどのブランドがいいんだ?」 華子が驚いたまま無言でいると、 デパートのショーウィンドーに、淡い水色のディスプレイが現れた。 華子の目は、一気にその店に惹きつけれる。 「私、あの店が憧れなの!」 華子は、吸い込まれるようにそのショーウィンドーへ近づく。 それは、陸でも知っている、女性に大人気の有名ブランドだった。
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