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「オードリー・ヘプバーンの映画を見てね、婚約指輪は絶対このブランドにすると決めていたのよ!」
華子は微笑んで言った。
そして、チラッと陸を見ると、少し心配そうに言う。
「ここのは高いわよ! 大丈夫?」
「望むところだ!」
陸は余裕の笑みを浮かべて言った。
それから二人は店に入り、
婚約指輪をいくつか見せてもらった。
華子が一目惚れしたのは、
シンプルなプラチナの台に、
四角いエメラルドカットの大きなダイヤモンドが載った指輪だった。
よくあるラウンドタイプのブリリアンカットを選ばないのが華子らしい。
そのスクエアの個性的なカットは、
気高く美しい華子に、よく似合っていた。
指輪はサイズ直しの必要がないほど、華子の指にピッタリだったので、
そのまま持ち帰る事が出来た。
店を出た二人は、手を繋ぎながら北の街を歩き始める。
「陸...とっても素敵な指輪をありがとう! 一生大切にするわ!」
「ん、気に入ったのが見つかって良かったな...」
陸は満足気に頷くと、
まだ少し時間があったので、華子を時計台まで連れて行った。
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