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飛行機がホノルル空港へ無事着陸すると、 二人は荷物を引き取ってから到着口を出る。 すると、陸を呼ぶ声が聞こえた。 「おにいちゃーん!」 「陸っ!」 見ると、女性二人が声を張り上げてこちらに手を振っていた。 その横には、男性が一人笑顔で立っている。 「よっ!」 陸は右手を挙げてそう言うと、笑顔で三人の元へ歩いて行った。 「久しぶり~! いらっしゃい~! もう、お兄ちゃんったら、何度誘っても全然こっちに来ないんだもん! 待ちくたびれちゃったわ!」 30代くらいの女性はそう言うと、拗ねた様子でプクッと頬を膨らませた。 すると、隣にいた男性が笑いながら言う。 「夏子のブラコンだからなぁ! でもお兄さん、やっと来てくれて嬉しいです!」 男性はそう言うと、陸に笑いかけた。 すると今度は、年配の女性が言った。 「陸、なんだか若返ったんじゃない?」 「そうかな? ご希望通り、彼女を連れて来たよ!」 陸が華子を紹介すると、 女性は感無量といった表情で、華子を見つめた。 「華子さんですか?」 「はい......初めまして、三船華子と申します」 華子はそう言うと、ペコリとお辞儀をした。 「陸の母の綾子(あやこ)です。今日は遠い所をようこそいらっしゃいました」 綾子はそう言って優しそうに微笑む。 それから、隣にいる二人を紹介した。 「こちらが陸の妹の夏子です。そしてその夫の賢太郎さん」 「初めまして、島崎夏子(しまざきなつこ)です。お会い出来て嬉しいです」 「こんにちは、島崎賢太郎(しまざきけんたろう)です。今日ははるばるようこそ!」 陸の妹とその夫が、笑顔で自己紹介をしてくれた。 「華子です。お会い出来て嬉しいです」 華子がニコニコと笑顔で返すと、夏子が言った。 「お兄ちゃん、すっごく若くて美人な方じゃないのよぉ~! どうやってこんな素敵な人を見つけたのよっ!」 「本当ですよ! 僕らよりもかなり下ですよね?」 そこで陸の母・綾子が言った。 「華子さんは27歳なんですって?」 「はい...今年28になりますが...」 そこで妹の夏子が叫んだ。 「若いわ~! あっ、ちなみに私は34歳なの。夫は41!」 「陸さんと10離れているのですか?」 「そうそう。うちは父親が割と早くに亡くなったでしょう? だからお兄ちゃんが私のお父さん代わりみたいなものだったのよ!」 夏子はそう言って微笑んだ。 「ちょっとちょっとみんな、ここで立ち話もなんだから、レストランにでも行きましょうよ! 華子さん、お腹空いているでしょう?」 「あっ、はい...」 「賢太郎さんが車で来てるから、ホテルに行く前に少しドライブしてからレストランに行きましょう」 「ありがとうございます」 そこで一同は賢太郎の車へ向かって歩き始めた。 空港の外に出ると、気温は高く、頬を撫でる緩い風が、 南国にいる事を実感させてくれる。 華子はハワイは三度目だったが、 最後に来たのが学生時代だったので、久しぶりだった。 燦々と降り注ぐ太陽の光と真っ青な空が、 身体中にパワーを与えてくれるようだ。 この旅は、陸の家族への挨拶が目的とはいえ、 ハワイに来る事が出来て華子はとても幸せだった。 そして、一同が乗った車は、海沿いの道を快適に走り始めた。
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