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「華子さんのご家族にもご挨拶をしないとだわ...」 綾子が言った言葉を聞いた華子は、 母・弘子の事をどう話そうかと、少し沈んだ表情になる。 しかし華子の不安な様子をすぐに察知した陸が言った。 「華子のご家族の事は、全て話してあるから、大丈夫だよ」 「そうそう、聞いているわよ。この間、北海道でお父様と再会なさったんですって? 本当に良かったわねぇ...」 と夏子が笑顔で言った。 そして賢太郎も、 「華子さんのアクティブなお母様は、今パリにいるんだよね? 恋に生きる50代なんて、ハワイやアメリカなんかでは特に珍しくもないので、そう気にする事はないですよ!」 そう言って笑う。 華子はそれを聞いて感動していた。 皆、あえて華子に気を遣わせないように、先手を打って気配りをしてくれている。 なんて優しい人達なのだろう......。 自分の家族の事を話したら、きっと変な目で見られるかもと心配していた華子は、全くその心配がない事を知り、一気に気が楽になった。 そして、先回りして気を配ってくれた陸の優しさに感謝した。 そこで綾子が言う。 「華子さん、うちはね、家族がどうとか、世間体がどうとかは、全く気にしない家なのよ。うちもね、ずっと母子家庭だったでしょう? そのせいで色々言われてきたわ! だから、言われる方の気持ちも充分分かるのよ。それにね、うちの家族ってこの通りあっけらかんとしているでしょう? だからそういう事は一切気にしないのよ。とにかく私達が望むのは、あなたが陸とずっと仲良くしてくれる事なのよ...」 綾子はそう言って優しく微笑んだ。 綾子の言葉に、賢太郎も、うんうんと頷いていた。 夏子だけが、 「どうせあっけらかんとし過ぎですよー!」 とふざけたように言う。 そこでまた笑いが起こる。 あたたかい人達に囲まれた華子は、思わず目頭が熱くなる。 『こんな素敵なご家族と生活していたから、陸も心の広い優しい人に育ったのね...』 華子は改めてそう思った。
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