3825人が本棚に入れています
本棚に追加
4
コインパーキングには、
黒の国産SUV車が停まっていた。
華子は今まで、こういった車に乗った事がない。
重森も他のボーイフレンドも、
ほとんど皆、スポーツカータイプの外車に乗っていた。
陸はキーを解除すると、
「乗って!」
と言い、顎で助手席を示した。
華子は渋々とドアに手を掛ける。
その車のドアはかなり厚みがあり、華子の華奢な腕では
かなり力がいる。
華子は顔をしかめながらドアを開け、助手席へ乗ろうとした。
しかし、思っていた以上に車高が高く乗り込むのに少し手間取った。
『高くて乗りにくいっ!』
心の中で文句を言いながらも、なんとか助手席へと収まる。
すると、料金精算を終えて戻って来た陸が、運転席へ乗り込んで来た。
「じゃあ行くぞ」
陸はそう言って車をスタートさせた。
そこで、ふと華子は思った。
社宅として貸してくれるマンションは、確かここからすぐのはずでは?
「ねぇ、社宅のマンションってすぐ近くにあるんじゃなかったの?」
すると陸が言った。
最初のコメントを投稿しよう!