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この店で店長をしている若者は、
塩村卓也・29歳。
卓也も、以前は陸と同じ自衛官だった。
卓也は関東の陸上自衛隊に所属していた。
しかし入隊6年目に内科的病気を患う。
幸い、命にかかわるような病ではなかったが、
ストレスや身体に負担のかかる仕事は控える必要があると
医者に言われ、卓也は両親からも説得されて泣く泣く退役を決意。
自衛官を辞めた後は、
実家に戻り療養を兼ねてしばらくのんびり過ごしていたが、
たまたまこのカフェに立ち寄った際に、陸と顔見知りになる。
そして何度か通ううちに、
ここで働かないかと誘われる。
そろそろアルバイトでも探そうと思っていた卓也は、
すぐにその誘いを受けた。
卓也は店で真面目に働いた。
元々責任感の強いタイプなので、どんな仕事もきっちりやり遂げる。
そんな仕事ぶりが認められ、
今では社員として店長を任されるまでになった。
全く違う分野で働いてみて卓也が感じた事は、
自分は自衛官よりもこういう仕事の方が向いているのかもしれない
という事だった。
陸は常に卓也のやりたいように自由にさせてくれる。
店長として、卓也がこうしてみたいと思うようなアイディアがあると、
陸はいつも卓也の意見を尊重してくれた。
陸は常に現場スタッフの意見にきちんと耳をかたむけてくれる。
そんな上司だった。
そんな陸のお陰で、
卓也はストレスなく毎日楽しみながら仕事に取り組んでいた。
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