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《覚えているよね、今年のお年越しは一緒に過ごそうと約束したこと》
覚えているよ、だから無理を言って明日の元日に納骨をさせてもらうことにしたんだよ。
《ネットで調べたら七七日には私の魂は成仏してしまうらしいです。だから、私はなんとしても元日以降に七七日を迎えるように生きることを頑張っています》
七海……
《さて、私の予想通りなら、大地はお年越しの準備を何もしていないはず》
大当たり、さすがです。
《なので、これから私からのお年越し準備指示が不定期に大地のスマホに届きます。大地はそれを参考に行動してね。私たちの最初で最後のお年越しのために》
死んじまったあとまで僕の世話をやいてくれるなんて。本当に七海なしだと何もできない自分を自覚しているので、自然と笑いが溢れる。
《では、まずは髭を剃り、顔を洗い、服を着替えて、エコバッグ(重要)、財布、スマホを持って玄関から大晦日の街に飛び出しましょう》
そんな今日最初の指示から始まった大晦日も、百八つ目の鐘が年が明けたことを知らせるように鳴り響く。
「約束、果たせて良かったよ。一生忘れることのないお年越しになったよ」
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