だから僕は今、目を閉じる

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 ティローン  メールの着信を告げたスマホを慣れた手つきで操作をする。 《鶏の唐揚げは海の方のスーパーより、公園を左に曲がった先にあるお弁当屋さんがおすすめ。グラム単位や個数単位で売ってくれるから、必要な量で買えるはずよ》  一度ゆっくりと目を閉じてから、外の寒さをかろうじて塞いでいる玄関のドアに視線を移す。 「早く会いたいな」  七海(ななみ)からの指示に従い、僕はスーパーではなく、公園の先にある弁当屋に行くためにアパートを出た。  十二月の空気は刺すように冷たく、衣類に守られていない箇所に容赦なく攻撃を仕掛けてくる。できるだけ露出している部分を減らすために肩を竦めて、足早にアパートの階段を降りる。  弁当屋につき、ショーケースに並んでいる商品を眺めていると、ポケットの中のスマホが鳴動していることに気がついた。 《お弁当屋さんはたくさんの商品が並んでいると思う。選ぶのはモモ肉の唐揚げで、3つもあればいいと思うよ》  ショーケースには、唐揚げだけで何種類も並んでいた。  危ない、七海の助言がなければ全種類買うところだったと苦笑いが浮かんできた。
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