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そう言うと私に目もくれずパソコンを操作し始めた。
内心「何その態度」と毒づきながらも小さく頭を下げ、部長のもとへ向かう。
先ほどからチラチラと視線を感じる。まるで私を品定めするような嫌な視線。
……気のせいだろうか。
部長のもとへ行き、改めて「おはようございます。四条杏奈と申します。よろしくお願いします」と挨拶をした。
「よろしく。席はそこね。安達さん、あとは任せるよ」
示されたデスクに目を向けると、同年代の女性が「とりあえずここに座って」と隣のデスクを指差した。先ほどの男性よりはマシだけどやっぱりどこか面倒くさそう。
「四条杏奈と申します。よろしくお願いします」
「安達です、よろしく。……朝礼が終わったら詳しく説明するけど、まずは電話に出てくれるかな? 時間が空いてる時はこの資料を読んで。何かあったら声掛けてくれる?」
「わかりました」
淡々と説明をすると、安達さんは席を立ってどこかに行ってしまった。
私、新入社員だよ? もっと歓迎してもらえると思ったのに……。
気落ちしながらも周りを見渡すと、始業前ということもあるのか向かい合う形で配置されたデスクでは数人が談笑している。徐に後ろを見ると同じように向かい合う形で島になっていて男性が数人混じっている。
この部署は圧倒的に女性が多いようだ。私がいる島に至っては女性しかいない。
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