花園ポエマー

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 農学部の廊下を掃除しながら窓の外を眺めるのが習慣になっていた。あの花畑でハローは詩の発想を得る。詩を紡ぐ。詩をしたためる。必ず来る。ハローは必ず現れる。  とその時、よそ見をしていて掃除機を誰かにぶつけてしまった。 「すみません!」  慌てて掃除機を引っ込めた。顔を上げると仕立ての良さそうなスーツを着た老紳士が立っていた。 「申し訳ありません教授。私の指導不足です。良く注意しておきます」  山田さんが私の頭を押さえ頭を下げさせ、自分も深く頭を下げた。 「ああ山田さん、ご苦労さま」  老紳士はふっと笑って上品に去って行った。 「何やってるんだ!」 「すみません……」  山田さんは今までで一番不愉快そうな顔をしていた。 「今の方は教授だったんですか」 「そうだ。あの教授で良かった。他の教授だったら会社に苦情入れるかもしれない」  農学部にそぐわない華奢な体躯。汚れたら困るような高級そうなスーツを着ていた。 「農学部の教授ですか?」 「文学部だ。さあ仕事だ」  文学部の教授が農学部へ? 何で? もしかしたらハローと花畑で会うのかもしれない。  掃除機がけを再開したが花畑が気になる。外を伺いながら気をつけて掃除をする。 「あ……」  さっきの教授が花畑に現れた。そして1人の男性に声をかけている。ハローだろうか。  その男性は作業着を着て草取りをしていた。農学部の学生だろうか。 後ろ姿なので分からない。でもあの作業着には見覚えがある。  私が今着ている物と一緒だ。山田さんも着ている。  どういう事だ。まさかうちの会社の社員? 
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