花園ポエマー

14/16
前へ
/16ページ
次へ
 男性は大きく肩を震わせ、ゆっくりと振り向いた。宇宙人に会ったかのような、驚いた顔をしていた。 「春夫(はるお)」 「パパ!」  男性は大慌てで立ち上がり声の主の方へ走った。振り返るとそこには山田さんがいた。 「パパ、外人さんだよ。英語喋ったよ!」  男性は山田さんにすがりつき私を指さした。山田さんは困惑した顔をしていた。 「山田さん……えっと……」 「何でここにいるんだ」 「えっと……」 「自分の持ち場に戻れ」 「はい、えっと……」  春夫、ハルオ……ハロー? 「もしかして桜庭ハローさんですか?」 「持ち場に戻れ!」 「はい……」  午後、掃除機が重かった。全然前に進まなかった。山田さんは相変わらずむっつりとした顔でモップがけをしている。とても話をする雰囲気ではない。  窓の外では春夫さんが草取りをしている姿が見えた。春夫さんがハローなのだろうか。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加