花園ポエマー

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 手がかりはたったひとつ。「常盤木大学(ときわぎだいがく)」だ。ハローのどの詩集にも監修者として常盤木大学文学部教授の名前があった。  ハローは常盤木大学の学生なのだろうか。それとも講師?   謎は深まるばかり。それと同時に募る思い。私の高校生活はハロー色に染まった。  そんな私にも進路を決めなければならない時が来た。私は進路希望に迷わず常盤木大学と書いた。 「無理。常盤木大学は偏差値が高いからうちの高校からは絶対無理。ましてや君の成績じゃ100%無理」  進路指導の先生はけんもほろろに却下した。  ならば職員になればいいじゃないか。そう考えたが甘かった。大学職員はとても人気のある職業で、倍率は大学入試並みに高かった。こちらも進路指導から即却下された。  それでも諦めきれず片っ端から求人を検索した。そしてついに見つけた。 「草野香(くさのかおり)さん、ですか」 「はい!」  常盤木大学に出入りしている会社をみつけた。今日は面接にやってきた。 「本当にうちでいいんですか? まだ若いし女性だし、他に仕事ならありそうですが」 「御社がいいんです。若い女性はダメですか?」 「いや……体力ありそうですし、うちとしては大歓迎ですが」 「よろしくお願いします!」  あっさり合格した。私は制服をもらい、晴れて4月から働き始める事になった。
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