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「愛してる、一生大切にするよ」
頸にチリチリする甘い痛みに涙が溢れる
「うん、僕も愛してる。ずっと、一緒にいてね」
出逢ってすぐに運命かもって思ったんだ
カッコよくて、優しくて…
僕のコトを大切にしてくれる
「番になろう」って言ってくれた日は、本当に嬉しかった
大好きな幼馴染のハルくんにも祝福して貰えて…
人生で一番幸せだった
忘れるはずがない、幸せな日々だった
こんな日が、ずっと続くと信じていた
目が覚めると、寝ている間に泣いていたのか、抱き締めていた服が濡れている
静か過ぎる部屋を見渡しても、何処にも大切な人の姿などない
広いダブルベッドに、ただ積み上げられた沢山の衣類の山
巣とは形容し難いただの衣類の山
一番よく着ていたはずのワイシャツに顔を埋めるも、とっくに匂いなどは消えており、好きな人の匂いのしない巣に虚しさだけが募る
最後に着たのはいつだろう
彼と会ったのは、いつが最後だろう
帰ってきて居ない彼に想いばかりが募っていく
「運命の番を見つけた!」
結婚して1週間
彼の帰りを幸せいっぱいに待っていた僕に告げられた言葉
興奮と高揚で、いつもの落ち着いた雰囲気が一切ない
すごく、すごく嬉しそうな彼が、今まで見たどんな時の顔よりも、嬉しそうな笑みを浮かべてそう告げてきた
何を言ってるのか理解ができなくて
理解したくなくて
その時、僕はどんな顔をしていたんだろう…
愛している彼の後ろから、ひょっこり現れた小柄な可愛らしい人
フワフワの柔らかそうな髪に、こぼれ落ちそうな大きな目
可愛いという言葉がピッタリな人
この人こそΩって誰もが言いたくなる、理想的な可愛い人
彼が、僕の番の運命の人だった
結婚して1週間。
そう、その1週間で、僕の幸せは瓦解した...
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