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「2人とも必ず幸せにする」 興奮が冷め止まない彼が提案した事 僕とは離婚はしない 番を得たのに、捨てられたΩがどうなるのかを知っているから… 一応、まだ僕に対して、愛が残っていたから… 運命の彼も、少し不満そうだったけど納得しているようだった 僕は、何も言ってないのに… 僕だけが蚊帳の外で それでも、話しは進んでいく 僕の気持ちを置いてけぼりにして… それからすぐに、彼の二重生活は始まった。 最初こそ、僕との生活を一番にしてくれていた 1週間の半分以上を僕の家に帰って来てくれて、一緒に過ごした 変わらない生活のはずなのに、どこか寂しくて… 彼の気持ちが離れていってるんじゃないかって不安だった 「みつるのこと、一番愛してるよ 運命のあの子に出逢っても、この気持ちは変わらない」 いつもの笑顔で いつもの優しさで いつもの、温もりに包まれながら 彼の言葉を耳元で聞いた でも、そんな日々もすぐに変わってしまった 帰って来てくれる日が1日減り また1日減り 1週間、10日、1ヶ月と… 僕のところに帰って来てくれる日が減っていく もうどれくらい会ってないだろう... 最初の約束で、「発情期(ヒート)の時は必ず側にいる」って 言ってたのに、それも最初の1回だけ… 2回目は、運命の彼と時期が被っちゃったから… 1日早かった運命の彼が優先されちゃった… 初めて過ごすひとりぼっちの発情期 番が居るはずなのに、その番に助けて貰えない 家中の彼の匂いのするモノを集めても満たされなくて 燃えるような体内の熱を発散出来なくて… 自分の指では、何も満たされなかった 狂いたくなる性欲を必死に堪え 手や足に引っ掻き傷を作ってしまった 運命の彼は、こんな苦しみを知らない 僕の番のはずなのに… 泣き過ぎて声も掠れ、涙も枯れた頃、やっと発情期(ヒート)が終わった 彼が帰って来てくれたのは、初めて1人で過ごした発情期(ヒート)の2日後 体力も気力も、ギリギリになった僕を優しく抱き締めてくれた 彼の匂いに包まれて、やっと安心して眠ることが出来た 「みつる、みつるなら大丈夫みたいだな 愛してる。みつるのこと、ちゃんと愛してるよ」 微睡む僕を腕に抱いて、何度も何度も「愛してる」って言ってくれた 大丈夫、次の発情期(ヒート)は一緒に居てくれるはず こんな苦しい発情期(ヒート)は、この1回だけ 僕は、ちゃんと耐えれたから… 僕のこと、ちゃんと愛してるって言ってたから…
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