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初恋のひと
「ねえ、先生」
「なんだ」
「先生の初恋っていつですか!?」
「それを聞いてなんになる」
「えっ、答えてくださいよー。私たち友達じゃないですかー!」
「ちげぇよ、なんでそうなるんだよ」
「だって放課後にふたりで残ってお話するなんて、それってもう友達――いや恋人なのでは!」
「てめぇの補習だよ」
洗脳に失敗した私は「ちぇ、釣れないなー」と口をとがらせる。
「で!先生の初恋、おしえてください!」
初恋相手について、事細かく取材をし、全部吸い取ってやろうと密かな作戦に燃えていた。
反して先生はチラリと横目で私に視線を送り、
それから戻して、ふと頬を緩めた。
……ちょっと、今のはずるい。
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