一昨年

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「なんだ」 「『人生詰んだ』みたいな顔してるよ」  デリカシーのカケラもない奴だった。 「正解だ」 「あ、やっぱり?どうしたの?話聞いてあげる」  許可も得ずに、隣にすとんと腰を下ろした。  女子高生特有の甘い香りが鼻を打つ。  同時に、女子高生特有の図々しさも香る。 「気分のいい話じゃねえぞ」 「いや、お兄さんにそんなの期待してないから」  ケタケタと笑いながら少女は言う。  ほんとうにデリカシーのない野郎だ。 「友人に、裏切られた」 「あら」 「会社をなくした」 「そりゃ、たいへんだ」 「頼る人もいねぇ。職もねぇし、金もなければ、住んでた会社がなくなって家もねぇ。もう、なにもねえ。バイトで食いつなぐのにも無理がある」 「なーるほどね」  他人事感100の相槌に、少しばかりイラッとする。 「おい、聞いてるか?」 「あーー、ごめん!わたし相槌苦手なの!ちゃんと聞いてる!」  お悩み相談とか絶対受けないほうがいいタイプだな、と心の内で思う。 「えーと、じゃあそうだなー。ホスト……あ、ホストとかどう?お兄さん、髪がボッサボサなだけで、よくよく見れば超かっこいいし、いけそうだけど」 「そんな器じゃねえ」 「たしかに」 「おい」  少女は満足げにケタケタと笑った。  
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