第2話

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カーテンから差し込む朝日が眩しかった。 時計の針は午前5時30分を指している。 リビングに降りて、朝食の準備をする。 机に並べて気づく。 お父さんは職場だ。 いつもの様に、2人分作ってしまった。 置いたままにしても仕方がない。 自分の朝食を食べ終えてから、お父さんの朝食と昼食をお弁当箱に詰める。 今日は起きるのが早くて、今の時間はまだ6時30分だ。 今から届けるにはまだ早い。 もう少ししてから持っていこうと思う。 何をしようか考えていると、不意に昨日の事件を思い出す。 (そもそもなぜ、犯人はあのコンビニを狙ったのだろう?) あのコンビニは防犯カメラが商品棚で死角になっていると知っていたのだろうか? それならば、あのコンビニで働いたことのある人物だろうか? そう思っていると、ふとあることに気がついた。 お父さんのお弁当箱を持ち、家をでる。 もちろん戸締りをしっかりして。 少し早歩きになる。 警察署に着いた。 受付の女の人に聞く。 「あの、都賀刑事っていますか?」 「どんな御用でしょうか?」 「あ、都賀刑事に那結菜が来たって伝えて貰えますか?」 「かしこまりました。そちらにおかけになってお待ちください。」 朝早いのに、この警察署はよくやるなぁなんて思いながら、待っていると誰かが走りながらやってくる。 「那結菜!」 「お父さん」 「那結菜!来るなら連絡しれくれれば…」 お父さんの言葉を遮り私が言う。 「連絡手段ないのにどうやって連絡するんだよ!」 「た、確かに……」 「お父さん、これ」といいながら、お弁当箱を手渡す。それに続けて言う。 「お父さんさ、今更かもしれないんだけど、松田さんと棚田さんのコンビニで働いてた時の重なってた時期1年を調べて」 「なんで、また急に…」 「いいから」 そういう私に対して、不思議に感じながらもお父さんに連れられて昨日の部屋へ向かう。 「...那結菜、何か...分かったのか?」 「前にも言ったじゃん、真相を知りたいなら、全てを知らなくちゃ、って」 お父さんは困り顔でいた。 一刻も早く事件の真相を知りたいのだろう。 「...ねぇ、お父さん。1つ、聞いてもいい?」 「なんだ?」 「...もし、さ...どんな些細なことであっても、誰かのために...お父さんは、嘘を...つける?」 お父さんが顎に手を当て考える。 少しして、答えた。 「そう、だな...それが、自分の為にならなくても、それが大切な人のためなら嘘をつく、かもしれないな」 「そういうもの?」 「そういうもんさ」 お父さんははっきりとそう言い張った。
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