いつかの記憶

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カルテの最初のページにはまずボクのことについて書かれてあった。 性別、年齢など、一般的な情報から、 今のボクには理解不能な情報が載っていた。 理解不能な情報、それは『名前』と『オマージュ』だった。 確かに実験体209とはボクのことだ。 実験体、という生き物に普通名前などあるものなのか。 …いや、知らない。別にどうでもいいことだ。 続きを読もう、なんて思ったとき突如扉の開く音が聞こえた。 急いで振り返る。そこには… 『…起きたの?』 見覚えのない、ボクと同じぐらいの身長の少年が、 嬉しそうな表情でこちらを見ていた。 『また…また話せるんだね…!カルくん…!』 カル…ボクの…名前… カルテに書いてあった。なんで、なんで知ってるんだ。 ボクの存在は知られているものなのか…? 『あはは…そんな目で見ないでよ…カルくん、また会えて嬉しいよ。』 キミは…なんでボクにそんな目を向けるんだ… ボクがたった1つの希望のような… やめてくれ…身震いがする…そんな目で見ないでくれ… 気づけばボクは… 『…ペルくん、久しぶり。』 なんて言葉を発していたようだ。
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