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煙草なんて方便。特別な外国煙草だって、社長の好みなら常備してて当たり前。もう一部屋のVIPルームの隙間から覗くことだってできる。ミキちゃんも可哀想に、あんなに顔を上気させ、からだを反らして。もうできあがってるじゃない。
「いい気味、あんたも汚されて捨てられちゃいなよ」
「んくつっ!」
「指だけでいったか? ミキちゃんは感度も最高だな。どうだい、ワシのテクニックは。続きは二人きりになれる静かな場所で、――その前に仕事の後の一服だ」
「煙草?」
「あぁ、残ってたのを忘れとったよ」
先ほどまで柔らかな肉を弄んでいた、社長の指に摘まれた煙草の火を点けようと差し出すミキちゃんの手は、なぜだか何も持っていなかった――はずなのに、いつの間にか拳銃のような物が握られている。完全に意表を突かれ社長は硬直している。社長の斜め後ろに控えていた用心棒の手はしかし、拳銃のホルスターを隠したジャケット内に差し込まれていた。
ところが、次の瞬間、拳銃のような物は、先端から青い炎を伸ばし、煙草の先端をオレンジ色に染めた。
「BANG! 驚いた? あたし手品が得意なの」
ミキちゃんは、その場面を目撃した者全員をあざ笑うかのように、にこりと微笑んだ。
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