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悪魔はどこにでも居る
あたしは新しい世界へのドアを開ける。差し込む光が眩しい。
屋外へ踏み出すと、細めた目に黒い影がかかった。
「ミキだな? 警察だ、ご同行願おう」
悪魔の囁きが聞こえる。突然、目の前に現われた拳銃に、誰もが驚きと感嘆の声をあげるだろうと。
反射的に、何百回と反復してきた動きが再現される。
全身に衝撃が走る――
「なんてこった!」
「おい、不味いぞ。この銃――」
顔を強張らせた警官達が見下ろしている。その背景には抜けるような青い空、旅立ちには最高の日だ。けれど、あたしは足下の暗い沼底へと沈んでゆく……
〈了〉
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