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「アニキ! 大変だ!」
突然、案内所のドアを乱暴に開け駆け込んできたのは、サブと呼ばれるチンピラだった。
いつもなら、『魅喜ちゃん! まだ俺に、永久就職決めないのかい?』なんて軽口をたたく、見た目はちょっと、――どころではなくチャラいけど、根はいい奴なのだ。桜井さんに心酔している仲間のひとりでもあった。
いつになく真剣なサブちゃんが、あたしには目もくれず桜井さんに耳打ちする。と、桜井さんの目の色もみるみるうち変わっていった。
「魅喜ちゃん、悪いけど野暮用がはいった。今日は店じまいだ。バーテンダーの求人が入ったら連絡するから、悪いけど今日は帰ってくれないか」
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