難攻不落な彼について

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「姫〜旦那また告られてるよ!」 クラスの女子達が廊下から来い来いと手招きしている。 姫はため息を吐きつつその場に向かう。 「ほら、あそこ」 指さす先に視線を向ければ、中庭の真ん中で3人の女子に囲まれた彼氏の姿が目に入った。 「あれ、3年の雅先輩じゃない?」 クラスの子の指摘に女子の方に目を凝らして集中する。 わぁ。足めっちゃ細い。 お人形かな? 確かにあれは3年の美人で有名な先輩だ。 しかも胸もデカい。 思わず姫は自分の胸元に視線を向ける。 いつになったら成長期に入るのか自分の可愛らしい胸とは違い雅先輩の胸元は制服がはち切れそうに膨らんでいる。 いいなー 彼氏が告白されているというのに、そんな事に意識を飛ばしていたので雅先輩が彼氏に抱きついた瞬間を見逃してしまった。 「ちょっと姫、あれはやりすぎなんじゃない? アンタいいの?」 再度中庭を見ると、先輩が長く細い足を活かして182㎝ある光輝に抱きついていた。 届くのか、あの身長に。 羨ましい。 そんな感想を抱きつつ中庭から視線を外した。 「ちょっと姫っ!あれは文句言っていいよ!」 姫の後ろからきたクラスメイトが息を荒くして興奮している。 「う〜ん。私が文句言う事じゃないから」 「えー!だって彼に抱きつかれてんのよ!」 「それは嫌だけど、光輝が抱きついたわけじゃないしね」姫は苦笑いしてクラスメイトに「ありがとね。」と何のお礼か分からない返事をして自席についた。

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