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「光輝先輩っ好きです。」
一難去ってまた一難。
光輝と待ち合わせの場所に向かえば何だろう
デジャブ?と言った光景が目に入る。
あれは1年のアイドルと言われている子ではないか。
涙袋は自前らしく、ぷっくりとした目元が可愛らしい。薄く色づいた頬が彼女の昂る気持ちを表している。
だか、しかし。
そんな告白のシーンとは裏腹に、しん。とした静寂。まさにその2文字が当てはまるように、言われた本人は全く気づいていない。
「光輝先輩?」何も反応を示さない光輝に痺れを切らした彼女が歩み寄る。
「え?俺?」
先程から何やら必死に携帯を見ていた光輝は顔を上げ不思議そうな顔をしている。
いや、聞いてなかったのかい。
ぷっ。
光輝からはだいぶ離れているため聞こえるはずはないが思わず笑いが出て姫は慌てて口を塞ぐ。
それなのに、「姫?」と向こうから声がかかった。
う〜ん。出辛い。
姫は居どころが悪くソワソワし始める。
どうしよう。
一旦、部室戻ろうかな。
姫は部室に戻るべく踵を返そうと向きを変えるがパシっと腕を握られた。
「姫、部活お疲れ。帰ろ」
光輝はそのまま姫の手を取り校門に向かう。
「え?光輝先輩!」
1年が光輝に向かって声を張り上げる。
光輝は「あっ」と声を出し今思い出したという風に彼女に振り向く。
光輝の側に走ってきた彼女は
「あの、返事は、、、」と言いつつ姫の方は全く見ずに光輝をガン見している。きっと断られるなんて想像もしてないのだろう。
「俺さ彼女が大事だし、彼女がいるのに告る人の気持ち分かんないわ。じゃ」
光輝はそのまま姫と手を繋いだまま校舎を後にした。
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