きみと一緒なら何も怖くはない

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 買い物を終えたスヴェイズは一刻も早く街を出るべく石畳を鳴らして先を急ぐ。  もう少しで街の出口だという所で、直ぐ横の広場が何やら騒がしいことに気がつく。ふと目をやると行商人がやって来ており、声を張り上げていた。 「さぁさぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい! ついでに買ってらっしゃい! 今日は珍しい商品を仕入れたよ!」  集まってくる街の人々。普段なら多くの人が集まる場所になど決して寄りつかないスヴェイズであったが、その日はまるで引き寄せられるかのように広場へと向かった。  そして、行商人の言う"商品"を見て愕然とする。 「東方の黄金の島国から仕入れたるこの子ども、なんと髪も目も真っ黒という珍しさ!」  その"商品"はまだ3歳位の幼い人間の男の子であった。そして少年は怯えた表情で体をふるわせている。
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