きみと一緒なら何も怖くはない

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 少年の首には鈍色に光る無骨な首輪。そして細い手足に鎖のついた枷が嵌められている。  痩せっぽっちで粗末な服を着せられた少年は無理矢理故郷から連れて来られたのだろう、大粒の涙をこぼしてふるえる。  スヴェイズはそんな少年に己の姿を重ね合わせる。ふるえるほど辛い、怖い。その気持ちを男はよく知っていた。 「さぁこの世にも珍しい、今日はなんと金貨10枚でお売りしましょう!」  金貨10枚という高値に観衆からどよめきが起こるが、そもそも人身に値段がつけられて売買される方がおかしいのだとスヴェイズは内心憤慨する。  見るに堪えない状況にスヴェイズは拳をぎゅっと握る。そして顔をそむけて立ち去ろうとしたその時、少年と目が合った……気がした。  それは気がしただけで、フードを深くかぶっているので目が合うなんて不可能だろう。だがしかし、スヴェイズは少年から目を離せなくなっていた。  
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