第2章 図書室と表彰状

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 「1日に4冊までだったら、家に持って帰る事が出来るわよ」  2年生の上靴を履いた図書委員の女の人が、俺が座っている机まで歩いて来て、俺の顔に自分の顔を近付けて、ご丁寧にも教えてくれた。  「……あぁ、そうですか」  机の上に積み上げた沢山の本の山を手で隠す素振りを見せた俺は、ペコリと頭を下げた。  「本が好きなのね」  「……いぇ、そんなに好きでは無いです」  ちぐはぐな言葉を交わした後で、結局、俺は本を4冊借りて帰った。  今となっては、その本の題名も作家の名前も覚えていないし、特にその本が気に入った訳でもなかった。  ただ、2年生の図書委員の女の人と、もう少し話しがしたかったのだ。
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