図書室は恋の予感

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ピンポーンと玄関のチャイムが鳴る。 舞はもう一度だけ服装の確認をする。 身だしなみチェックはバッチリだった。 舞は期待と緊張と共にドアを開けた。 「舞ちゃん、今日はお邪魔します!」 そこには清潔感のある服装をした隼人がいた。 「隼人さん・・!来て下さってありがとうございます!」 舞は直前までもしも急な用事などで来られなくなったらどうしようと思っていたため、隼人の姿を確認して安心した。 舞は大学生になってから一人暮らしをはじめた。 隼人を部屋に案内するといっても舞の自宅はワンルームなので、「案内」という言葉が正しいのかは微妙である。 さっそく舞は紅茶の準備をする。 「わ〜!いい香りだね」 「アールグレイティーですけど、隼人さんは好きですか?」 座布団の代わりにクッションをしいて座り、テーブルで勉強をする。 「前にダージリンと悩んだ時期はあったけど結論はアールグレイだったんだよね!」 「私もアールグレイ好きなんです!だからもらった時はラッキーって思いました!」 紅茶を飲みながら2人は試験勉強をはじめた。 「俺の友達は1年生の時に再試験になっちゃってさ・・。それから俺はいつも再試験にはなりたくないと思って必死だよー」 「私のクラスも再試験にだけはなりたくないってみんな言ってます・・!」 おしゃべりも楽しみながらの試験勉強は順調に進んでいく。 「紅茶のおかわりはいかがですか?」 「じゃあ、お願いしようかなぁ」 憧れの隼人と自分の家で一緒に勉強をしているなんて夢のようだった。 舞が新しい紅茶を準備してテーブルの上に置くと、隼人の表情が変わっている事に気づく。 まるで具合が悪いような顔をしている。 「隼人さん・・?大丈夫ですか!?」 「あー、ごめんね。ちょっと栄養不足でね・・」 「栄養不足・・?」 舞が隼人を心配していると隼人の瞳がオッドアイになっていた。 少し茶色い瞳の隼人だが、片目だけ赤いのだ。 「えっ・・」 「舞ちゃん・・?」 「隼人さん、オッドアイに・・?」 「そっか。栄養不足だとそうなるのか・・」 何かに納得したように隼人がつぶやく。 「舞ちゃん、笑わないで聞いてくれる?」 隼人が見たことがないほどの真剣な表情でそう言う。 「笑ったりなんかしないです。私は・・、隼人さんの事なら小さな事でも知りたいですから・・」 自分で言っておきながらだが、舞は少し恥ずかしくなった。 隼人も顔がほんのり赤くなっている。 「俺ね・・。ヴァンパイアなんだ」
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