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キス。それは口づけとも言う。
舞は好きな人の口からその二文字の言葉を聞いた。
隼人の命の危機なのにとんでもないワードが出た事により、舞はますます頭の整理がつかなくなる。
「キスって・・、あのキスですか?その・・、恋人がするという・・」
緊張した舞は少し変な言い方になってしまう。
「そう・・、そのキスだよ・・」
隼人も恥ずかしさの限界であった。
もはや試験勉強はどこへやらである。
「えっと・・、キスをすれば隼人さんは血を飲んだ事と同じになるから助かる・・、で合ってますか・・?」
「合ってます・・」
思わず隼人は敬語になってしまう。
「生きるためとはいえ誰かにキスをお願いするなんてできないからね・・。この事実を知ってから覚悟はしていた。俺は舞ちゃんとこれからも話したいし、変な話題にもしちゃったから帰った方がいいのかな・・。ごめんね、試験勉強だったのに・・。今度きちんとお詫びするね・・」
隼人は悲しい顔をしていた。
舞は嫌な気持ちになんてなってはいないが、隼人はとても気にしていた。
それが隼人の優しさだった。
舞はそんな隼人だから好きになったのだ。
「隼人さん・・。話してくれてありがとうございます。私は誰にも言えない事を隼人さんが私に話してくれて嬉しいです・・。だから・・、キスの事をお願いしたいです・・」
「好きな人」プラス「キス」という言葉はとてつもない破壊力を秘めている。
「爆弾」と言っても過言ではない。
もちろん、とても安全な爆弾だが。
「舞ちゃん・・!?キスだよ?俺は彼氏でもなんでもないし、同じ大学ってだけで男だよ?!嫌じゃないの・・?」
「嫌じゃないです・・。だって私は・・」
ずっと心に秘めていた気持ちを言う時がきたのだろうか。
「な、なんでもないです・・!続きは、また今度言います!」
告白するのならもっとちゃんと準備がしたいと思ってしまった。
「隼人さん・・。キスを・・、お願いします・・」
状況的には仕方ないのだがなんとも恥ずかしいお願いである。
「舞ちゃん・・」
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